「自転車はどこを走ればよいのでしょう?」と尋ねたときに、
「そりゃ、車両だから車道だよ!」と答える人は、どれくらいの割合でいるでしょうか。
さらに「車両だからクルマと同じ左側通行だよ」と答える人はもっと少ないでしょう。
「自動車交通量が多い道路などで、自転車歩行車道の標識がある所では、歩行者に注意しながら、
走ることも出来る」というのを「自転車は歩道を走るもの」と勘違いしている方が多いのではないでしょうか。

今回は、ドイツ(フライブルグ、ミュンスター、デュッセルドルフ、カールスルーエ)で見かけた、
自転車が車道を走ることが出来るための工夫を紹介します。
車道の路肩部分にある大きな「自転車」マークです。「ここを自転車が走るのだよ」とアピールしています。
さらに右下の写真は、車走行車線-自転車車線-駐車帯-歩道となっています。
歩道側ではないのですね。
「早く動くためのレーン」と「止まっているあるいはゆっくり動くためのレーン」が分かれています。
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さて、交差点ではどうでしょうか。
カラー舗装で分かりやすくしてあったり、右左折を誘導する停止位置の路面標示もあります。
また、自転車専用の信号によりクルマの右左折と交錯する心配もありません。
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また、停止線はクルマより前にあるため、自転車専用信号でまず自転車が出発して、
しばらくしてからクルマが発進します。
これにより右左折のクルマと衝突したり巻き込まれたりすることを防いでいます。
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クルマの前に自転車が勢揃い。(左下写真)
日本だと通勤時の原チャリ(原動機付自転車)がこのような感じでしょうか。
また、右下写真のように、交差点では、歩道の自転車通行帯を走っていた自転車がクルマの前に来ます。
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横断歩道でも工夫があります。(左下写真)
歩行者の待つ後ろに自転車通行帯があります。
また、右下写真にある駐車場の出入口など、クルマと交錯する所では交差点と同じように
カラー舗装で「ここを自転車が走りますよ」とアピールしています。
とにかく自転車が走行できる空間を連続させています。(確かに日本ではクルマが走る車道は
連続していても、自転車が走る空間や歩道はブツ切れですよね)
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車道の自転車レーンから歩道の自転車通行帯へもスムーズです。
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市街地では、クルマの進入を規制して、自転車が道路の中央を走っています。
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ただし、歩行者を優先するところでは、自転車は道路の端を走ります。(左下写真)
何を優先するのか、そのためには何を規制するのか、というメリハリがついていま。
これは、どのような街なのか、という明確なビジョンの現れでもあると思います。
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歩道(自転車歩行車道)においては、歩行者は建物側を歩き、自転車は車道側を走るように
標識で示されています。
また、右下写真のように、直進や右折などの方向を示す路面標示による誘導も工夫されています。
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左下写真は小さくて分かりにくいですが、手信号を出して右折する女の子です。
また、右下写真は、一方通行を逆走するための自転車レーンです。
これはクルマと同じ方向を走る自転車は車道を走れば良いわけですが、
逆方向に行く自転車のために専用レーンが設けられています。
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いや~、様々な工夫、ルールを守る意識、街の明確なビジョンなど、
本当に勉強になりました。