自動車にいくらかかっているか
著:上岡直見 出版:コモンズ
自動車にいくらかかっているか

-目次-
第1章 自動車と環境への影響
1自動車依存の拡大
2地球温暖化をまねく自動車
3現実に迫る気候変動
4都市の熱帯化
5土地利用と自動車
第2章 社会的費用と自動車
1社会的費用の歴史と可能性
2社会的費用の難点と制約
3宇沢弘文氏の「自動車の社会的費用」
4社会的費用の現代的意義
5自動車の代替と社会的共通資本
第3章 自動車は「いくら」か
1多岐にわたる社会的費用の項目
2温暖化の社会的費用
3健康被害や生活妨害の社会的費用
4道路や渋滞に関する社会的費用
5二輪車による汚染は乗用車以上
6さまざまな社会的費用の試算
7自動車の社会的費用とユーザーの負担
第4章 公共交通の社会的価値
1道路面は都市交通の「宝の山」
2経済学的にはバスの無料化が正しい
3ローカル線は交通政策の試金石
4鉄道貨物の貢献度
5「赤字」の迷信を捨てよう
第5章 自動車社会をこう変える
1方向転換のシナリオ
2転換の仕組み
3経済と雇用の「脱自動車」化
4広がるエコモビリティ
5社会的な交通教育の充実

感想
都市の亜熱帯化や交通部門のCO2排出量の推移など地球環境に関するデータ、温暖化や健康被害、道路や渋滞による社会的費用などを図表で表現し、自動車における社会的費用を具体的に示している。また、不便、採算が取れないとされているバスやローカル線などの公共交通についての社会的価値を見直し、自動車社会の方向転換を探る上で貴重な参考書となる。ただ残念なのは、製品として自動車が出来上がるまでに必要とするエネルギーや消費される資源、排出物などの社会的費用が記述されていないことである。