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約2.28億人の人口を抱えるインドネシア。
その首都ジャカルタには914万人(2008年政府推計)もの多くの人々が暮らしています。
1945年当時には約60万人程度の都市であったジャカルタは、第二次世界大戦後に急激な人口増加が発生したことになります。
それに伴い、様々な都市問題も発生してきました。

特に道路渋滞をはじめとした交通渋滞は大きな問題となっていました。
それを解消するために2004年に導入された、バス交通システム(トランスジャカルタ)に乗車してきました(2008年9月)。

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インドネシアの経済成長とともに多くの富裕層が生まれ、ジャカルタ都心部には高層マンションがにょきにょきと出現しています。
法制度の違いからか、日本ではなかなかみられない威圧感のあるマンションが並びます。
こうした富裕層や中間層の増大とともに自家用車の保有台数も増加し、交通渋滞も悪化してきたそうです。
実際、空港から都心部まで向かう際も、大規模渋滞にはまってしまいました。

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超高層が増加する一方で、その傍らでは密集低層市街地が拡がっています。
急激な都市拡大のひずみが見え隠れしています。
ちなみにインドネシアではKIPと呼ばれるコミュニティの移動を伴わない市街地改善政策でも有名です。

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都市内の移動にはバスのほか、原付の後ろに椅子を覆いを乗っけたような乗り物が走り回っています。
バスに乗るのはお金のない人というイメージが根強いそうです。
バイクもたくさん走っています。

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鉄道は主に都市間移動交通となっていますが。
一番値段の安い車両は、もうえらいことになっています。
ほんまに人が多いんです。

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バスは道路中央部に設けられた専用レーンを走ります。
そのため渋滞時にもスムーズに運行しています。
特にダイヤはなく、数分間隔で随時運行という感じです。
また全区間均一料金で運賃計算の必要がありません。
ブラジルのクリチバのものに似ています。

道路中央部の停留所へは歩道橋を渡っていきます。
仮設的な印象も受けますが、シンプルで好きなデザインです。

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チケットを購入して待合室に行きます。
バスの乗車口と停留所の水平面の高さが合わせてあります。
ただバスの入り口との間に溝があったりします。

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チケットは再利用されていて、印字されている柄が見えません。
日本だとすぐ交換しそうですが、こういうところをあんまり気にしないところがインドネシアのいいところです。

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夜なので人は少なめですが、なかなか普及しているようです。
安心して乗れるのも大きなポイントだそうです。
インドネシア人の友人いわく、
「普通のバスにはスリが5人いるけど、トランスジャカルタには1人しかいないから安全」とのことです。

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バスがくるとドアが開きます。
ちなみに満員の場合は車掌が載せてくれません。

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乗ってみました。
車内が暗くて写真が取れなかったのですが、日本でおなじみの普通のバスです。
エアコンが完備されています(普通のバスにはあまりありません)。

残念ながら(?)、夜間ということもあり渋滞も無く、専用レーンの恩恵は受けることができませんでした。
しかし翌日昼間にはクルマで渋滞に巻き込まれる中、横をすり抜けていくバスをみて、その効果を実感できました。

日本のようにいろいろきっちり決めていくと、お金も時間もかかってなかなか実現しませんが、
既存の環境を踏まえて、道路に専用レーンと停留所を「えいっ!」ってつくってしまうインドネシアにはエネルギーを感じました。
確かにまだまだ改善すべきところはありますが、使いながら改善されてきているのだと思います。
インドネシアのええところです。

【Edit by まつもと】