高槻市広報や市のHPにも掲載されていますが、
昨年10月1日から、弁天踏切の通行止めを行いながら工事を進めていた
「弁天跨線橋」が12月24日(金)から利用できます。
この工事期間中、踏切通行止め対策として運行していた「弁天シャトルバス」
が12月31日で運行終了となります。
弁天シャトルバス

この代替バスは無料ということや高槻病院、関西大学、大阪医科大学、JR高槻駅、
阪急高槻市駅等を20分間隔で運行していたこともあり、1便で10人~15人の方が
利用されていたそうです。
弁天シャトルバス経路図
これは、単なる踏切通行止めの代替機能というだけではなく、通院や買い物などをされる
高齢者や自転車を利用できない子供連れの方、あるいは小学生など、
車を運転できないあるいは自転車を運転できない方など、いわゆる交通弱者と言われている
移動手段が限られている方にとっての大事な足(移動手段)になっていたと思われます。
これは、今まで隠れていたニーズ(移動手段が無かったから外出を控えていた方など)を
呼び起こすきっかけになったのではないでしょうか。

しかし、残念ながら弁天跨線橋(歩道橋)の完成に伴い、
この便利な移動手段は廃止されてしまいます。
(当初から決まっていたことなので致し方ないですが)

但し、これからさらに進む高齢社会、車や自転車に頼ることが出来ない、
移動(外出など)することが困難な方がますます増えることと思われます。
この弁天シャトルバスをきっかけに、市民の足となる公共交通についていろいろ
考えるべき時期に来ているのではないでしょうか。

高槻市は府内でも数少ない「市バス」が市民の足として利用されています。
しかし、ライフスタイルの変化や
少子高齢社会(特に高槻市は北摂地域において高齢化率が高い)においては、
現在の路線バスだけで、十分に「市民の足」を確保できるかは疑問です。

例えば、
バス停まで遠いので、そこまで歩くのが困難だから外出しない
便数が少ない、あるいは最終が早いので通勤には不便
家族4人で利用すると往復千五百円強になり、車の方が経済的
病院や市役所、図書館などに行くには2回乗り継がないといけない、
あるいはバス停が施設近くに無いため、使い勝手が悪い・・・などなど

これらの解決策として、バスとタクシーの間のような利用が出来る(家まで迎えに来る、
あるいは家の前で降ろしてくれるなど)小型バスや、一人の定期券で家族は無料で
乗車できる環境定期券みたいなもの、時間制で乗車後1時間は乗継ぎしても同額とか。
他市や海外では、いろいろな前例があるのではないでしょうか。

市内には路線バス以外に送迎バスなどが数多く走っています。
(例えば、幼稚園や学校等の通園・通学、企業の通勤、塾や習い事などの送迎、
ゴルフ場や宿泊施設、介護施設や病院などなど)
これらの施設と住宅地や郊外の大型店、鉄道駅などを周遊するなど、
各施設が共有化することで、時間や人員、車両に余裕が出来、
さらにサービスが向上するのではないでしょうか。

実現するには、法的なこと、企業間の垣根、マネジメント力、採算、民意などなど、
いろいろなハードルをクリアする必要があると思いますが、可能性は無いでしょうか?

日経新聞(WEB版:地方)に関連する記事が掲載されていましたので紹介します。

~以下転載~
北関東「デマンド交通」多彩に 「午後だけ」や住民運営
2010/12/4 2:58

 住民の希望に応じてバスや乗り合いタクシーを運行する公共交通サービス「デマンド交通」。北関東でも普及が進むとともに、運営方式も多様化し始めた。午前中の定期運行時に午後の予約を取ったり、地域の住民が運転など運営に参加したり、全国的にもユニークな取り組みが目立つ。高齢化・過疎化が進みニーズが高まるなか、地域に適したあり方を模索している。

 中心街から離れた栃木県佐野市北部。山あいの秋山川や旗川に並行して走る道路沿いは民家もまばらだ。地域の貴重な足、市営バスで10月末、「全国でも珍しい」(関東運輸局)方式のデマンド運行が始まった。
 デマンド交通は予約時間に指定場所に迎えに行き、希望の目的地に送る方式が多い。新方式は午前は路線バスと同様にワンボックスカーなどが定時に停留所を回る。降車時に予約を聞き、午後はデマンド方式に移行。利用のある時に走る。
 全面移行なら、予約のない時は経費を削減できる。だが、電話予約に否定的な高齢者が多かったため「午前に出かけ、午後帰宅する例が多いことに着目した」(市交通生活課)。料金は大人300円で電話予約も可能。週1回程度、通院や買い物で使う女性(80)は「最初は大変と思ったけど慣れれば大丈夫」と話す。
 路線バスの廃止や住民の高齢化を背景に、デマンド交通の運行地域は昨年12月で150を超えた。東北などに比べ導入が遅れていた栃木や群馬でも意欲的な地域が増えている。ただ、収益は厳しいうえ、「相乗りや事前登録といった仕組みに抵抗があるところもある」(茨城県交通対策室)。

 こうした課題に応え、全国から視察団が相次いで訪れるデマンドタクシーが茨城県日立市の中里地区にある。運営するのは住民が昨年春設立した特定非営利活動法人(NPO法人)「助け合い なかさと」。8人乗りのワゴン車2台を1日25人程度が利用する。
 通常はタクシー会社などに委託するが、予約を受けるオペレーターは地元の郵便局OBを配置。「高度なシステムがなくても配車はスムーズだ」(市都市政策課)。運転手も住民。「顔のわかる人が電話を受け、運転してくれることで、気楽に利用できる」(NPOの石川諒一理事長)。
 人件費などの運営コストは年間約650万円に抑えた。市の補助金に加え、一回300円の運賃とは別に約500世帯からそれぞれ年1500円を徴収。「地域の足を地域が守る」との考えが根付きつつある。

 かすみがうら市は10月、デマンドタクシーとシャトルバスを組み合わせた新サービスを始めた。タクシーは自宅から公共施設やバスの乗り継ぎ拠点まで送り、JR土浦駅に行く人はバスに乗り換える。タクシーの運営効率を高める工夫だ。

 中里とは対照的に無料で利用できるデマンドバスを4月に始めたのが群馬県太田市。75歳以上の高齢者や障害者を最寄り駅や病院、商業施設などに送迎する。無料運行は全国でも珍しいという。年間2200万円の事業費は県の緊急雇用創出基金を充てる。10月末まで2200人が登録、約9000回の利用があった。
 ただ、朝を中心に予約が殺到し「なかなか希望する時間に来てもらえないとの不満もある」(市交通政策課)。併せて市は路線バス事業を11路線から2路線に削減した。10年度の赤字額は2000万円と3分の1以下に減る見込みだが、無料バスの事業は12年3月までの2年間。その後については「今後検討していく」(同)とするにとどまる。

~以上~

上記群馬県太田市は無料送迎、緊急雇用創出基金の活用、しかし、基金無き後の運用が決まっていないなど、弁天シャトルバスとよく似ている(?)