著者:中村文彦(横浜国立大学大学院工学研究院教授)
発行所:学芸出版社(定価2,200円〈税抜き〉)
「バスでまちづくり 都市交通の再生をめざして」という、
高槻市などの都市部におけるバス交通問題を考えるのに
とても参考になる図書を紹介します。
バスでまちづくり

【目次】より
序章 なぜバスか
第1章 バスによる幹線輸送 -BRTの発想-
第2章 バスを活かした福祉政策 -DRTの応用-
第3章 情報技術を活かしたバスシステム -ITSとの連携-
第4章 環境政策の中のバス -TDMとバスの役割-
第5章 都市開発計画とバスの連携 -TODとバス-
第6章 交通拠点としてのバス停車施設
第7章 バスを活かしたまちづくりの課題 -市民と行政と事業者の協働
終章 バスを活かしたまちづくりをめざして

序章にもあるように、
「交通を知らずしてまちづくりはできない」
「なぜか低いバスの人気」
「意外と高いバスの能力」
「忘れてはならないバス停問題」
という、今までの書物には無かった切り口がこの書籍には盛り込まれています。

高齢社会が加速し、生活様式が多様化するなど、
今までのバス路線やバスサービスでは、バス離れに歯止めがきかないと思われます。
しかし、送迎や福祉など多様な移動サービスとして、各企業や団体が小型バスを
自前で運行している現実もあります。
(例えば、塾、スイミング、ゴルフ場、ホテルなど習い事や余暇を楽しむための送迎、
さらには、病院への通院や介護施設への通所、または工場など企業への通勤送迎など)

高槻市は吹田市などに比べ鉄道駅が少なく、また地形的に丘陵・山間部も多いことから、
JR及び阪急の高槻、富田駅を中心として、市バスが放射状に配置された街の作りに
なっていると思います。そして、市バスが市民の足として活用されていますが、
バスの乗継ぎ(料金や施設)やバス停からの2次交通(自転車、徒歩、小型バス)、
放射軸を補完する東西、南北軸など、高齢社会や生活様式の多様化に対処していくためには
まだまだ改善が必要だと思います。