高槻市立第四中学の2年生8名と思わぬコラボレーションが出来た。
 きっかけはある市議から「文部科学省研究開発学校委嘱を受けている第四中学の『いまとみらい科』で、「地域の夢をかなえる」という活動があり、地域で活動している人の話を聞き、生徒達が自らプランを立て、実行、振り返り、今後につなげるの。お願いできる?」とのお誘いの言葉から始まった。
 「中学2年生ってむずかしい年頃、交通まちづくりをどうやって伝えよう?とりあえず自転車かな~」

 昨年末、まずは生徒のインタビューに答える形で「クルマに出来るだけ依存しないまちにしたい」の思いを市内やドイツなどの写真を紹介しながら「安心して歩けるまちは活気が生まれ楽しいまちである」ことを伝えた。また、自転車がクルマと逆走あるいは順走では衝撃力が違う、だから非常に危険なこと、弱い立場の人を守る(人>自転車>クルマ)ことなどを話した。

 そしてみんなで学校の周辺を実際に歩いてみた。
 「歩道は最低でも2人がすれ違える幅が必要」「白線の幅や防護柵の支柱間隔、ブロックなど、知ってると役立つ簡易計測方法」などを歩きながら話していたら、ちょうど自転車が歩道を「チリンチリン」と鳴らして通っていった。
「みんなどう思う?歩いている所に突っ込んでくるなんて危ないよね」など、大人達の危険な行動を観察してもらい、危険さを体験して貰った。

 そして2月の生徒達の活動報告。
 「ちょっと難しかったかな」「中学2年生がどう考え、実行してくれたのか」不安と興味が半々であった。
 生徒達は、まず保護者に「小さい子供」「お年寄り」「ベビーカーや車椅子」などの立場で歩いていて「危険」「不便」を感じること、自転車やクルマ運転時に気をつけていることなどをアンケートし、また地図に危険と思う箇所を記入して貰い、それをマップに落とし込み「四中地区交通危険場所マッ
プ&ランキング」を作成していた。

 多くの意見や立場の違う人の意見を聞くのはマーケティングにおいて重要である。そしてそれらを共有するために地図に落とし込み、さらに順位を付けるという生徒達の行動は、その精度や完成度は低いかもしれないが、十分に大人社会で通用するものである。(へたなコンサルタント会社より優秀かもしれない)

 天気が良かったので、その交通危険箇所マップを持ってワースト5を回ってみた。驚いたことにその時も生徒達は自転車、歩行者をしっかり観察し、分析しているのである。狭い歩道で自転車が自分たちに近づくと分かっていても避けず、「チリンチリン」とベルを鳴らす人、自転車を下りる人、無理矢理すり抜ける人など、自転車の反応を楽しむのである。

 生徒達には少しだけ危険な思いをさせたが、自転車が歩道を走ることに対して身をもって危険であることを感じて貰えたと思う。また、生徒達には「もし大人が間違ったことをした場合、あなたたちが注意すると大人達は恥ずかしいと思うだろう」「大人が大人に注意すると争いのもとになるけど、孫や子と同じようなあなたたちが注意すると素直に聞いてくれるかもしれない」と伝え、中学生たちが大人達を変えるかもしれない、本気でそう思った。

 最後に、研究会で予定している秋のシンポジウムで生徒達に是非発表して欲しいとお願いしたところ、「おもしろそう」「発表したい」などすごい積極的で前向きな14歳の言葉に、私の方が勉強させて貰ったと心から思った。(高槻道夫)